SETS ダニ媒介性重症熱性血小板減少症候群
尾張旭でもSFTS感染の猫さんが発生しました。
また、三重県でSFTS感染猫さんを治療した獣医師が亡くなりました。
『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』とは
「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」は、平成23年に初めて病原体ウイルスが特定された人獣共通感染症のひとつで「SFTSウイルス」を持ったマダニに咬まれることで発症する病気です。ダニの生息している草むらによく入る人や、野良犬猫さんや地域猫さん、自由に外出している犬猫さんはかなり危険な環境にあると言えます。人のSFTSは、ウイルスを持ったマダニにかまれることで発症するだけではなく、感染動物さんとの接触によっても感染します。発症した動物さん(人間も)は血液や糞便、唾液、体液からウイルスを検出します。 つまり、犬猫さんと接する機会が多い人ほど感染リスクが高く、2024年3月、患者から医療従事者(ヒトからヒト)への感染も確認されています。発症動物さんと接触した飼い主様、獣医師が感染、死亡する事態も起きています。人の致死率は6.3~30%ですが猫さんは50~70%、犬で40%といわれています。 特に猫ちゃんは致死率が高いだけでなく、報告されている症例数もかなり多いです。人の症状は主に発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)、 時に意識障害などの神経症状や出血症状等が認められます。動物さんも発熱消化器症状、血小板減少、白血球減少などが認められます。治療は対症的な方法しかなく、有効な薬やワクチンはありません。感染から6~14日の潜伏期を 経て発症します。
原因はマダニ
マダニは主に春から秋にかけて活動的になり、草むらをはじめ、山林や公園、河川敷、自宅の庭、畑など 身近な場所に生息しています。3月から11月にかけて活性するシーズンは特に十分な警戒が必要です。
効果的な予防法とは
残念ながらSFTSの決定的な治療法はいまだに存在しません。点滴などの対症療法のみです。犬猫さんと飼い主さんの命を守るためにも、入念な感染予防対策が欠かせません。完全室内飼育でも、飼い主さんが外から持ち帰ったマダニによって、感染してしまう危険性もあります。効果的な予防策は、定期的なマダニ駆除薬の投与です。マダニの駆除薬には、錠剤やスプレー、スポットタイプ(背中などに滴下)などがあります。さらに、万全を期すためにも、飼い主さんは、草むらや河川敷など、マダニが生息するエリアにむやみに立ち入らないことが大切です。何らかの事情で立ち入る際は、長袖や長ズボンの着用を心がけてください。
万が一、マダニに咬まれたところを発見した場合は、つぶしたり、無理に引きはがそうとする行為は禁物です。マダニの体液が皮膚内を逆流し、化膿する原因になる恐れがあります。速やかに病院で診てもらうようにしましょう。