食事(フード、おやつ等)

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    『獣医師専用 犬猫食事療法食』  No.16 2009.6月

     2008年12月のDr.理恵 『食の安全』 に次ぐ、第2弾!。
     再びフードのお話をしたいと思います。 フードと言っても、今回は『食事療法食』についてです。

      『療法食?』、なんのこっちゃ<(`^´)> と思われる方もいらっしゃると思いますが、下痢をして動物病院へ罹った事のある方なら、おそらく一度ぐらいは獣医さんに「2、3日これ食べて」と言われて買ったことがおありでしょう。恐ろしいほど(?)高い、あのフードです(>_<)。

     ご存じない方のために説明させていただきますと、療法食とは・・・病気の動物さんたちの食事管理のための専用食品です。要は、私たち人間が病気になったとき、お医者さんに食事に気をつけるように注意されますよね。肝臓が悪いときには 「お酒を控えなさい。」心臓が悪い時には 「塩っ辛いものを控えなさい。」 腎臓に負担がかかっているときには「タンパク質を控えなさい。」 また、食物アレルギーがある場合にはその原因となる食べ物を食べないように指導されることもあります。
     動物さんでも同様なのですが、人間と違って普段手づくりフードを食べていないことや、手づくりと言っても必要な栄養素、ビタミンなどのバランスを調整しながら作ることは、至難の技です。そのために、病気のときの栄養バランスを補いながら、回復に必要な栄養素を過不足無くとるために作られているフードを「食事療法食」というのです。

     回復のためにどのような栄養素が必要か? などは病気によって違います。ですから、食事療法食も病気によって異なり、心臓病には心臓病用の、肝臓病には肝臓病用の、腎臓病には腎臓病用のフードがあります。
     
     では、心臓病だったら心臓病用、肝臓病だったら肝臓病用を食べれば良いのか?

     そうも簡単にはいきません。
      例えば、心臓病でも心臓の何が悪いか、その動物さんの年齢、病気の進行状況などによっても変わってきますし、動物さんの体質によって、逆に療法食を食べることによって、他の病気になる事だってあります。(結石溶解フードはまれにゲボしてしまう体質の子がいて、食べ続けると膵炎になることもある・・・など。)
     また、定期検査や診察より、フードの変更をしてみた方が良い結果になると思われる場合や、逆に全く効果が出ていないときにはフードだけでなく治療法を変更した方が良い場合や、はたまた、ほぼ病気は完治しているため、わざわざ高価な療法食を食べる必要がなくなっている場合などもあります。
     
     何が言いたいのかというと・・・。

     「せっかく高価(>_<)な療法食を食べさせるのであれば、検査や診察を適切に受け最大限、効果が出る食べ方をすべき」

     言い換えるならば、療法食を買う場合には、その病気とフードについてのしっかりとした知識があり、使用が推奨されない病態についても知識がある所から買うべき! と言う事です。だから、『獣医師専用 食事療法食』と言うのです。

     今、インターネットや獣医師不在のペット関係ショップなどでも、療法食を見かけます。たしかに、わざわざ動物病院に行くより、手っ取り早く手に入るし、お値段だって若干お安いのでしょう。でも、インターネットやショップは「○○ちゃん、その後いかがですか?次、△△頃再検査してみましょうね。」とか「もう1ヶ月もこれ食べてますが、改善してませんね!食べ方間違っていませんか?」など、言ってくれるのでしょうか?ちなみにうちでは、院長席が受付の後ろにあり、診察中でない限り私はそこに座って勉強しているため、受付に来られた方で、診察でなくフードなどを買いに来られた方と必ず顔を合わせることができます。そこであまり診察に来られなくてフードを買っていかれる方には、「たまには様子を見せて下さい。」や「最近状態はいかがですか?」など、ちょっとうっとうしい感じですね(^_-)-☆。

     また、そろそろ気温が高くなってきますので、最近はさらにうっとうしく、いちいち「フードはどのくらいで食べきりますか?」と皆さんにお聞きしています。というのは、人間のポテトチップしかりですが、フードも封を開けるや否や酸化が始まります。酸化がおこると味の変化や栄養価の低下のみならず、カビ毒や他の発癌物質なども発生させます。カビ毒に関しては25〜35℃が最適温度ですし、また冷所でも発生します。以上より、これからの季節は特に 「フードの基本は封を開けて1ヶ月以内です(ー_ー)!!」 と皆さんに注意喚起しております。(本当は冬でもですよ〜(>_<)。)

     私たち獣医師は動物さんを治療したり、病気の予防をすることが仕事で、ほとんどの獣医師はそれで生計を立てています。物品販売で売り上げを立てているわけではないため、オーナーさんがどこでフードを買われようと、別段問題はありません。ただ、治療として療法食を使用しているのに(言ってみれば、投薬の処方と同じですよ!)、カルテ上では患者さんが指示通りの投薬を行ってくれていない状態で、では薬をしっかり服用してもらってから次のことをしていこうと治療法を検討しているのに、実は投薬を続けてましたとなると、全く治療の方針が変わり、再度治療法を考えあぐねなければならないのです(+o+)。

     インターネットなどで、療法食を買われている方。
      一度病院で診察を受けられてはいかがでしょう?高価な療法食を使う意味があるのか、ないのか? 使用方法、併用食との兼ね合いは? 維持食として害はないか? 開封後の日数は?・・・。 特に季節柄、最近多いのが皮膚関係です。私「フード続けないと良くならないよ」、オーナーさん「先生に言われたのずっと続けてるけど」・・・。オーナーさんからすれば獣医師に言われて食べてるのに良くならない→獣医師不審→ドクターショッピング→結局は動物さんにとばっちり・・・。です。
      そうならないように、高い療法食を使うのであれば、使用目的、使用方法、禁忌事項などをしっかりと理解し、目先の得でなく、何よりも動物さんの利益を重んじて使用していくようにして下さい。

      療法食の正式名称は、『獣医師専用 食事療法食』なのですから。

    2009.06.01

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