DR理恵のお話 『糖鎖って何』   No.36 2022.9.9(まさかの8年8か月ぶりの執筆!)

何年か前に五十路となり、日々疲れを感じている今日この頃、サプリメントについて考えるきっかけとなる出来事がありました。(いらないサプリメントを大量に出されたという悪意のある書き込み・・・10日分のサプリで・・・。病気を見つけ治療も成功させたのにトホホです)

そこで、当院のサプリメント処方の位置づけをはっきりさせようと指標を作りましたhttps://maria-ah.com/blog/7341。一度目を通していただきたいと思います。

思い返せば、サプリを積極的に使い始めたのは、うちのメルモ(うちの子が癌になりましたhttps://maria-ah.com/blog/merumo/3820参照)が鼻腔腺癌という癌を患い、放射線以外に何かできることはないかと探したことがきっかけ。実践してみた結果、核酸(https://maria-ah.com/blog/dr/9863)にたどり着き、効果に驚き、(2006年ごろのことなので、今ほどサプリの種類も研究も進んでいなかった)その他、アガリクス、高濃度ビタミン点滴(癌の免疫療法)などの力も借りて、メルモは大学の先放射線科の先生が驚くほど頑張り、1kgちょっとの小さな体で、7歳で発症してから6年間も生き抜いてくれました。そんな経験から、患者様にもぜひお勧めしたいとサプリの知識を深めてまいりました。当時若かった私は自身が積極的使うことはなかったのですが、今では年齢的に嚥下も悪くなっている中、少し苦痛なほどのサプリで生き延びています。

そして、今回のサプリ処方の指標つくりと相重なり、アニミューンという動物さん用の糖鎖サプリと出会いました。実は私、30そこそこの頃糖鎖を一時服用しており、ある程度の知識はあったのですが、あのころはまだ若く、メルモも元気で、そこそこ根も張る糖鎖を続ける理由があまりなく、忘れていってしまった感じでした。それから二十年以上も時がたち、様々な研究も進み、再度糖鎖について学び直したので皆様にお話ししたいと思います。その他、核酸(

)、乳酸菌などのお話(https://maria-ah.com/news/7419https://maria-ah.com/blog/holistic/3822)も良ければ目を通してください。

糖鎖について

糖鎖とは、各細胞の表面についている鎖状の物質で、8種類の単糖が結合によってつながった化合物の総称です。 その糖鎖の材料となるそれらの単糖を総称して糖鎖栄養素と呼びます。糖鎖栄養素であるグルコース(ブドウ糖)とガラクトース(乳糖)は、食品から摂取が容易ですが、それ以外の6種類の単糖(マンノース、フコース、キシロース、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルノイラミン酸)は食事からの摂取がむずかしく肝臓によって生成されています(唯一、「N-アセチルグルコサミン」「N-アセチルガラクトサミン」「N-アセチルノイラミン酸」をすべて含み、合計6種類の糖鎖栄養素を含む補給源が、「燕の巣」です。また母乳には糖鎖栄養素が多く含まれています)。そして、糖鎖栄養素が各細胞内のたんぱく質や脂質と結合して糖鎖を作っています。

糖鎖は核酸、たんぱく質に次いで「第三の生体物質:生物の体内に存在する化学物質の総称で、生体を構成する基本材料」ともいわれている物質です。そして細胞の表面でアンテナの役割を果たしていて、隣接する細胞に情報の受け渡しや、不調,傷ついた細胞を感知し、細胞を生まれ変わらせたりします。また、細胞の表面を覆い、分解や熱から細胞やたんぱく質を守る作用も持つため、細胞の健康を維持する効果もあります。さらに糖鎖は近づいてきた異物(細菌,ウィルスなど)を感知でき、侵入してきたそれらの情報を正確に免疫細胞へ伝達し、免疫機能を向上させる役割も担っています。

糖鎖栄養素が不足すると、不完全な糖鎖が生成され、上記の働きを行うことができなくなり体にあらゆる不調が生じます。(血液型も赤血球の表面にある糖鎖によって決められています。)(人での研究では糖鎖異常が見られる主な病気に、関節リウマチ、癌、アルツハイマーなどがあります。)

糖鎖の構造や種類は生物間で微妙に違っているため、その生物種でわかったことが他では当てはまらないことも少なくないそうです。この点でも糖鎖の正しい理解はあらゆる生物研究を行う際には絶対に避けては通れないと言えます。また、細胞が老化してくると細胞表面の糖鎖の糖の種類が変化することもわかってきています。ただし、糖鎖自体の意義や詳細な役割はまだ色々なことが解明されてくる可能性が非常に高いとも言えますので楽しみです。

下記【1】,【2】,【3】参照

【1】ピロリ菌感染マウスに、糖鎖を摂取させたところ、ナチュラルキラー(NK)細胞が増加し、糞便中のビフィズス菌の増加が見られたことから、糖鎖は免疫力向上作用を持つほか、腸内環境を整える働きがあると考えられています

【2】免疫関連物質IFN-γおよびIL-βを活性化することにより、病原菌チフス菌に対する抗菌作用を示したことから、糖鎖は免疫力向上作用ならびに抗菌作用をもつと考えられています。

【3】慢性疲労患者に糖鎖栄養素を摂取させたところ、糖タンパク質や免疫細胞NK細胞が活性化したことから、糖鎖が免疫力向上効果を持つと考えられています。

さて、次、糖鎖を健康にする方法をお話ししたいと思います。

まずは、①肝臓で糖鎖栄養素を作る

通常は、食事から十分に摂ることができるグルコースやガラクトースを素にして無数の酵素やビタミン、ミネラル、多大なエネルギーと時間を消費し、かなり複雑な15工程を経て肝臓で残りの6種類の糖鎖栄養素を作ります。しかし、現代生活ではさまざまな生理機能によって肝臓が疲れ、糖鎖栄養素を作る力が低下しています。

次に②外から糖鎖栄養素を補給する

上記の通り肝臓で十分に糖鎖栄養素を作れないのであれば、糖鎖栄養素を外から補給する必要があります。しかし、現代の食事では糖鎖栄養素はほとんど補えないため、それらを含む食品を工夫して食べる必要があります

その次に作った糖鎖を③活性酸素から守る

活性酸素が最初に攻撃する場所は糖鎖なので、抗酸化により糖鎖を守ることが体を守れることに繋がります。

そして作った糖鎖の④働きを高める

糖鎖の形だけでなくきちんと働かせるために必須栄養素が不可欠です。糖鎖をよりよく作るために補酵素であるCoQ10や、より働きをよくするためにレクチン(タンパク質)、ビタミンA・C・Eなどが必要です。

まとめますと、糖鎖栄養素は細胞の糖鎖をきちんと作るための栄養素です。細胞の糖鎖が正常になれば、健康は自分自身が作っていきます。糖鎖は糖鎖栄養素でしか作られないため、どんなにすばらしい健康食品、薬、栄養素、有用成分を摂っても糖鎖栄養素の代わりは一切できません。逆に、どんなにすばらしい健康食品や薬、栄養素、有用成分も、それが体内に入り、有効活用されるかどうかは「糖鎖」次第です。

細胞は毎日生まれ変わっています。そのため、いつまでも健康でいるためには、毎日生まれ変わる細胞の糖鎖を毎日きちんと作り続ける必要があります。

皆さん、飼主様も動物さん達も病気にならないための備えとして毎日、糖鎖栄養素の摂取をお勧めします。

 

  1. S 当院のおすすめ糖鎖の『アニミューン』https://animmune.jp/は糖鎖TPG-1とういう6種類の糖と17種類のアミノ酸からなる多糖タンパク質で構成されています。

 

 

マリア動物病院