『熱中症にご用心!!』 No.1 2007.8月
先日、2ヶ月の仔犬の頃から診させていただいていたワンちゃんが亡くなりました。
まだ、5歳。熱中症でした。
そのワンちゃんは少しでも目が痒いといっては病院に、少しでも腰が痛いといっては、病院にと、それはそれは大切に、愛されて育てられていました。
その1週間前も1頭熱中症で亡くなりました。その子も、お兄ちゃんが大切に 大切に育てていたワンちゃんでした。亡くなった後も、お兄ちゃんは毎日食事を お供えしているそうです。
2頭とも運び込まれたときには意識がありませんでした。
なぜこんなことになってしまったのでしょう?
今年が始めての夏ではありませんし去年まで、いいえ今年も暑さには充分気をつけていたはずです。
1シーズンに何頭か熱中症の動物さんが運び込まれます。
真夏の炎天下、フィラリア投薬のためにワンちゃんを歩かせて来院してしまった飼い主さん、若い飼い主さんには、何で私があんなにも怒ったのかわからなかったかも知れません。待合で 呼吸速拍、虚脱、嘔吐、呼吸困難と状態が悪くなっていきました。その場が動物病院であった ため手早い処置で、半日入院で元気に帰っていきました。処置が10分遅れていたらと考えると、 今でも恐ろしくなります。
このように熱中症は時間、体温がすべてで、ある点を超えてしまうと私たちの力ではどうすることも出来ません。冷却処置、輸液、酸素吸入、血漿輸液などあらゆる手を尽くしても 「必ず治します。」なんてことが出来ないのです。
どうすればいいのでしょうか?
それはまず予防。暑さから動物さんを守ってあげてください。
まだ、「梅雨だから」、「涼しくなったから」、「少しの間だから」、「毎年大丈夫だから」、 なんてことはありません。いつどんなときでも気をつけてください。
当院で熱中症で亡くなってしまった子はこの5年で2頭です。壮絶な亡くなり方を前に それ以上何も出来なく、本当に、本当に辛いです。
もう絶対にこれ以上増やしたくありませんし、亡くならないまでも動物さんがつらい思いを するのを見たくはありませんし、悲しんでいる飼い主さんを前に、私の怒りをどこに ぶつけていいのかもわかりません。
ワンちゃんだけでなく、猫さんも、ウサギさんも、フェレットさんも、人間?も気をつけましょう。
いつも大丈夫だからなんてことはありません。毎回気をつけてください。
どんな時でも「熱中症にご用心!!」