ホリスティック医療

  • orthomolecular

    オーソモレキュラー療法:肝臓疾患

    オーソモレキュラー療法とは・・・。

    栄養素療法=適切な食事やサプリメントなど(点滴含む)を用いて、身体を構成する細胞の働きを向上させて、様々な病気を治す治療。足りない栄養を補うだけでなく、栄養を治療に使います。
    薬は対処療法、栄養は根治治療です。

    オーソモレキュラー療法の肝臓治療へのアプローチ

     【慢性肝炎】
     犬で多く、肝臓内の炎症と肝機能検査の異常が続き、どんどん進行し、最終的には肝硬変になります。膵臓、胆道系疾患の合併症で起こることも多いですが、ほとんどが特発性で炎症の原因は不明ですが、炎症が強い時こそ、十分な栄養が必要となります。

     治療の目的は、炎症を抑えることですが、炎症の原因として銅の蓄積の可能性も高いため、銅の摂取量を控えることと、銅の排泄を手助けすることも重要となります。銅の排泄には亜鉛が関与します。
     

     亜鉛はアトピーの治療でも必須ですが、身体にとって必要不可欠な存在です。銅の腸管からの吸収を阻害するように作用することと、体内の銅を便と一緒に排泄させるという作用もあります。また、肝臓が壊れてしまうのを予防する(肝臓の繊維化を予防)効果もあり、抗酸化活性も有します。
     

     また、胆汁の銅排泄低下で銅が蓄積することもあるため、利胆剤使用も効果的です。
     そして抗酸化、抗線維化、抗炎症化とタンパク合成を増強し、細胞レベルで毒性を妨害し、免疫能を高めることを目的とし、シリマリン※1(ハーブの種子に含まれるフラボノイド)、BCAA※2、,総合ビタミン剤、核酸、コンドロイチン硫酸+グルコサミン(慢性肝炎の最終章の肝硬変抑制に効果)、オリーブ葉エキス(抗菌作用)、オメガ3脂肪酸、食物繊維、グルタチオン(抗酸化、解毒の維持)、SAMe※3等を摂取していきます。

     

                                                                                                  残念なことに、肝不全にまで病態が進み、解毒能の低下が起こりアンモニアの解毒もできなくなると、血中アンモニア含有量が増えて脳が障害され、肝性脳症と呼ばれる意識障害を起こします。(本来アンモニアは、腸管内の細菌によって食物中のたんぱく質からつくられ、門脈を通って肝臓に運ばれ、尿素に変えられ、尿中に排泄されます。) 

     よって、肝性脳症を起こす可能性がある場合はタンパクの制限が必要となります。

     しかし、肝不全が進行すると、前述のアルブミンも肝臓で作られにくくなり、低アルブミン血症(低タンパク血症)となります。 低アルブミン血症の状態では、血管内の水分が血管外に移動してしまいます。 その結果、お腹に水が溜まったり(腹水)します。 よって、タンパクを制限するかしないかの判断が重要で、現在すでにアンモニア値が高かったり、近い将来起こす可能性が高い場合(後述のチロシンの値が高い場合)においてのみ、タンパクの制限を行います。

     また、肝臓がそのような状態の際に便秘を引き起こすと、腸内毒素が体内に入りやすくなり、さらに肝性脳症を助長します。

     便通を良くして腸内環境を改善するお薬(ラクツロース等)とともに、食物繊維、乳酸菌も使用します。とくに水溶性食物繊維は腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整え、アンモニア産生菌の増殖も防ぎます。一方、不溶性食物繊維は腸内で水分を吸収して便のかさを増やし、腸を刺激して蠕動運動を促す働きがあります。

     腹水が増えると、利尿剤を使用します。利尿剤は水分を排泄させる効果とともにカリウム、マグネシウムなどのミネラルも排泄させてしまうため、体内のバランスが崩れます。そのころになると、食欲も低下してきてしまうことも多いため、栄養療法にプラスして積極的に点滴療法も追加していく必要があります。 

      
                                                                                                 ※1 シリマリン=フラボノイドの複合体:マリアアザミだけに存在するシリマリンは、DNAとRNAの働きを高め、肝細胞の内側でた                             んぱく質の合成を促進し、健康な肝細胞の損傷を予防する一方傷ついた肝臓の細胞を再生します。

     また肝細胞の外側をガードしていて、毒物が細胞膜を破って細胞内に進入するのを防ぐことと、細胞内に進入してしまった毒性物質を無毒化もおこないます。さらに肝臓内での最強の抗酸化物質のグルタチオンの肝臓内での濃度を平均35%も高めます。またSODの働きも高めることが確認されています。

                                                                                                     ※2 BCAA=分岐鎖アミノ酸:筋肉で代謝されるアミノ酸です。アミノ酸には、分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)と芳香族アミノ酸(チロシン、フェニルアラニン)があります。

     肝疾患になると肝臓で代謝される芳香族アミノ酸(AAA)が代謝されずに血中濃度が高くなります。逆に肝臓でほとんど代謝を受けない分岐鎖アミノ酸(BCAA)は、アンモニア代謝などに利用されるため、血中濃度が低下します。このBCAA/AAAの比率が低下することで、肝臓の蛋白合成能が低下したり、肝性脳症が誘発されたりします。

     また、血清BCAA濃度上昇により、脳血管関門を通過する芳香族アミノ酸の量が競合的に減少し、肝性脳症の防止にもなります。また、BCAAの1つであるロイシンには肝臓でのタンパク合成を促進する効果もあります。

                                                                                                  ※3 SAMe:必須アミノ酸から合成され、肝臓での酸化ダメージを防ぎ、正常なグルタチオンレベルの維持を促します。グルタチオンは肝臓の健康にとって重要な抗酸化物質です。通常必要レベルのSAMeは自然に体内で生産するのですが、肝疾患を持つ動物は、SAMe、グルタチオンの枯渇が起こります。

     SAMeを投与することでグルタチオンレベルを上昇させるだけでなく、肝細胞の成長や修復を手助けします。

     SAMeは食物中にはほとんど含まれていないため、低下している場合サプリメントで補う必要があります。また、肝疾患以外でも、薬物による肝障害、糖尿病、クッシング、膵炎、炎症性腸疾患、免疫介在性溶血性貧血、人ではうつ等にも効果があります。
                                                                                                      、
     

    2013.10.27

  • orthomolecular

    オーソモレキュラー療法:アトピー

    オーソモレキュラー療法とは・・・。

    栄養素=適切な食事やサプリメントなど(点滴含む)を用いて、身体を構成する細胞の働きを向上させて、様々な病気を治す治療法。足りない栄養を補うだけでなく、栄養を治療に使います。
    薬は対処療法、栄養は根治治療です。

    オーソモレキュラー療法のアトピー性皮膚炎治療へのアプローチ

    良質なタンパク質と脂質を中心とした、糖質制限による食事と栄養素による治療を行います。
                                                                                       アトピー性皮膚炎の動物さんは、消化管粘膜も弱く、糖質の摂取で血糖が乱高下することが多いので、基本的に糖質制限の食事が重要です。

    また、オーソモレキュラー療法におけるアトピー性皮膚炎の治療に必要不可欠な栄養素は、亜鉛、ビタミンA、オメガ3脂肪酸です。

    亜鉛の最も大切な働きは、1つの細胞から新しい細胞をつくる細胞分裂のときに必須であるということです。アトピーの動物さんは活発に皮膚の細胞が細胞分裂して新しい良い皮膚を作っていかなくてはならない状態ですので、亜鉛は必須の栄養素になります。

    ビタミンAは粘膜や皮膚の上皮細胞を形成し、働きを強化します。これは外から侵入する有害物質のバリア機能を果たしています。また、活性酸素を除去して、炎症抑制効果も持ちます。
    またアトピー性皮膚炎の動物さんが困る症状にかゆみがあります。これは、皮下の継続する炎症による症状です。局所の炎症を速やかに改善させるためには、オメガ3脂肪酸のバランスを高くしなくてはなりません。
     

    2013.10.26

  • orthomolecular

    『癌の治療は?』  免疫療法

    『癌の治療は?』

    人間と同じです。
    癌三大療法といわれている、外科療法(手術)、放射線療法、化学療法(抗がん剤)、その他第四の治療といわれている免疫療法などがあります。

    ☆免疫療法

    生体が本来持っている免疫細胞(自然治癒力)を高め、病気を治療するという方法です。癌免疫療法とは自然免疫や獲得免疫を利用することで、癌の増殖を抑えたり、転移、再発を抑制する治療法です。上記の癌三大治療は効果もありますが副作用も強く、何よりも自然治癒力や免疫力はかなり低下します。よって、免疫療法と三大治療を組み合わせる治療法が有効です。

    免疫療法には様々な種類があります。

    1. 抗癌作用を発揮する治療的免疫療法

      1-1.免疫細胞療法
      1-2.サイトカイン療法
      1-3.癌ワクチン療法
      他、高濃度ビタミンC点滴療法など

    2. 癌自体や三大治療などのために低下した免疫力を回復させる補助的免疫療法

      2-1.免疫賦活療法(ある種のサプリメント含む)
      2-2.健康食品療法(腸管免疫、核酸含む)
      他、オゾン療法、自律神経療法(鍼灸、マッサージ、温泉、マイクロバブル等)、心理療法等

    (追伸.ピンク文字:現在当院で行っている免疫療法。青文字:今後導入予定の療法

    2013.10.26

  • vitamin

    『癌の治療』       治療的免疫療法

    免疫療法には様々な種類があります。

    1. 抗癌作用を発揮する治療的免疫療法

    1-1.免疫細胞療法
    1-2.サイトカイン療法
    1-3.癌ワクチン療法
    他、高濃度ビタミンC点滴療法など

    1.抗癌作用を発揮する治療的免疫療法

    免疫は大きく「自然免疫」と「獲得免疫」に分けられます。

    病原体が体内に侵入したときにまず起こるのが「自然免疫」です。侵入したことを体に伝えるために、細胞は目印を表面に出します。病原体は、例えば細菌なら細菌に共通した目印を持っています。すると、周囲で見回りを行っている免疫細胞が目印をキャッチして、すぐにその場所に集まり、細胞ごと食べて破壊してしまうのです。この役割をする免疫細胞が、白血球の中の好中球・マクロファージと、ナチュラル・キラー(natural killer; NK)細胞という、文字どおり生まれつきの殺し屋で全身をパトロールしながら、がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけ次第攻撃するリンパ球などです。また、敵の情報を獲得免疫に伝える役目を持つ樹状細胞もあります。

    それに対し、「獲得免疫」は上記の樹状細胞から、特定の敵の情報を受け取り、その敵のみを攻撃する免疫です。ここで働く細胞はリンパ球(ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞)が中心となります。ヘルパーT細胞は司令塔の役割を果たし、他の細胞に攻撃命令を出し、侵入した病原体を破壊します。また、ヘルパーT細胞はB細胞に抗体をつくるように指令を出します。抗体は溶けて流れている異物分子でも攻撃できます。キラーT細胞は、感染した細胞を見つけ出して殺す事ができます。このように、過去に1度、体内で戦ったことのある病原体や物質(ウィルスや細菌感染、時には癌細胞など)が再び体内に侵入してきた場合の体の抵抗力は飛躍的に高まります。

    1-1.免疫細胞療法

    免疫細胞療法とは、上記のように体内で働いている細胞を取り出して(採血)体外で培養し、再び体内に戻すことで、敵と戦う力をパワーアップする方法です。増やす細胞の種類や、戦い方の違いにより様々な療法があります。(後述:敵と戦う兵隊を送り込む活性化リンパ球療法や、司令塔を送り込むDC療法など)それぞれ単独でなく、併用もできます。

    ① 活性化リンパ球療法(CAT療法)
    癌細胞に対し広く初期攻撃する治療法です。自分の血液を採取してリンパ球を1000倍に培養して点滴で体に戻すため、副作用の心配は極めて少ないです。

    ② DC(樹状細胞)療法
    前述の樹状細胞に癌の情報を取り込ませ、癌を的確に攻撃させることを目的とした治療法です。

    1-2.サイトカイン療法

    サイトカインも生体にとって”有害・異常な状況”が起こると、それに反応して生体を守る物質です。このサイトカインを投与することで免疫力を強化させるのがサイトカイン療法です。
    治療では「インターロイキン」と「インターフェロン」の2つがよく使われています。インターロイキンは白血球から分泌され、発見順に番号がつけられています。IL-2、12を癌サイトカイン療法で使用します。インターフェロンは、抗ウイルス作用、細胞増殖抑制作用、抗腫瘍作用、免疫調節作用、細胞分化誘導作用などの生物活性が知られ、医薬品としてα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、ω(オメガ)の4型があります。動物では、γ(インタードッグ)とω(インターキャット)という製剤があります。インタードッグは、抗腫瘍効果、抗ウィルス効果、免疫亢進作用などがあります。また、イヌのアトピー性皮膚炎の治療にも使われます。インターキャットは、機能的にはγとほぼ同じですが、特に抗ウィルス効果を期待して、ネコのウィルス感染症、慢性口内炎、イヌパルボウィルス感染症など、さらに癌の治療と幅広く使われます。

    1-3.癌ワクチン療法

    自分の癌組織を使って、癌細胞の刺激をさせるものと一緒に体の中に入れて、体の免疫反応を強くさせることで、癌細胞を持続的に攻撃しようとする療法です。

    1-その他.高濃度ビタミンC点滴

    高濃度ビタミンC点滴療法では、大量のビタミンCを点滴で血管内へ投与します。血液中のビタミンCが高濃度になると過酸化水素が発生し、この過酸化水素は正常な細胞には影響を与えずに、癌細胞だけにつよい障害を与えるため、癌細胞を自然死へ誘導できるのです。この作用は、あらゆる癌に効果が期待されます。

    2013.10.25

  • orthomolecular

    高濃度ビタミンC点滴

      高濃度ビタミンC点滴療法 

    高濃度ビタミンC点滴療法とは

    高濃度ビタミンC点滴療法では、大量のビタミンCを点滴で血管内へ投与します。血液中のビタミンCが高濃度になると過酸化水素が発生し、この過酸化水素は正常な細胞には影響を与えずに、癌細胞だけにつよい障害を与えるため、がん細胞を自然死へ誘導できるのです。
    ビタミンC自体元々体に生理的に存在している天然物であるため、きわめて安全性も高く副作用もありません。天然の抗がん剤です。この作用は、あらゆる癌に効果が期待されます。

    その他ビタミンCの7大効果

    1)免疫力を上げる

    2)コラーゲンを増殖させる

    3)活性酸素を抑える

    4)排毒作用がある

    5)鎮痛作用がある

    6)QQL(生活の質)が改善

    7)新生血管の増殖抑制により癌の増殖を抑制する

    1)免疫力を上げる

    ビタミンCはリンパ球を活性化するのみならず、抗ウイルス作用のあるインターフェロンも増やします。つまり、ビタミンCはがん細胞を殺すと同時に、リンパ球を活性化してがん細胞を攻撃してくれるのです。

    2)コラーゲンを増殖させる

    動物の皮膚や血管、骨に多く含まれる繊維性のタンパク質、それがコラーゲンです。コラーゲンは細胞と細胞の間をつなぎ合わせる接着剤のような役割を果たし、皮膚や血管、骨に柔軟性を与え、そして丈夫にしてくれます。このコラーゲンの合成にはビタミンCが必要不可欠です。
    そしてコラーゲンは癌細胞を皮膜で閉じ込める働き:カプセル化(抗がん作用)をします。また関節炎の緩和や皮膚構造、水分量を改善することにより、アレルギー性皮膚炎の症状軽減などにも効果があります。

    3)活性酸素を抑える

    体に有用な活性酸素も、過剰に働きすぎると逆に正常な細胞にも攻撃をします。そうなると細胞内や、血管内など体の様々な部位に悪影響を与えてしまうので、活性酸素の働きを抑える抗酸化物質が必要になってきます。ビタミン剤で抗酸化物質として知られているものがビタミンC、ビタミンE、β-カロテンです。ビタミンEは脂溶性なので、細胞膜内ではたらき、不飽和脂肪酸という細胞を包む油性の膜が活性酸素と結びついて有害な過酸化脂質となるのを防ぎます。ビタミンEが活性酸素と結びつくことで有害反応を防ぎますが、こうなるとビタミンE活性は失われます。
    そこでビタミンCが必要となります。
    ビタミンCは細胞外で働き、ビタミンEを再活性化させ抗酸化作用を取り戻します。
    ほか、酸化作用の悪影響には細胞の老化の他、心筋梗塞、動脈硬化、ガンなどが上げられます。ビタミンCの摂取はこれら症状への予防にも効果的です。

    4)排毒作用がある

    ビタミンCは、体の要らないものを尿から排泄する力を持ちます。抗がん剤は役目を果たしたら速やかに排泄されるべきですが、ビタミンCはこの作用を助ける働きを持ちます。

    5)鎮痛作用がある

    がんが進行すると痛みがでてくることがあります。大半が強い痛みで、麻薬で痛みをコントロールすることが多くなりますが、麻薬の副作用も出てきます。ビタミンC点滴は、この痛みの緩和に有効な場合があります。
    ビタミンCそのものに直接的な鎮痛作用あるかわかりませんが、 おそらく免疫力が上がることで痛みが和らぐのではないかと考えられます。

    6)QQL(生活の質)が改善

    がんが進行すると元気や食欲が落ちますが、ビタミンC点滴によって改善されます。食欲や元気の増進があれば、QOL(生活の質)の改善といえるでしょう。
    また、ストレスを感じると副腎からアドレナリンを分泌します。これを抗ストレスホルモンといいますが、その作用により血糖値が上昇してエネルギーを増やすことで、身体はストレスへの体制を整えようとします。
    ビタミンCはアドレナリンの生成時において補酵素として必要なので、アドレナリンの分泌量が増えるほどビタミンCの消費量も増加します。よってストレスにはビタミンCをしっかりととることが重要です。

    7)新生血管の増殖抑制により癌の増殖を抑制する

    高濃度ビタミンCが血管新生を抑える働きをもち、癌の増殖を抑えます。
    高濃度ビタミンCの新たな抗腫瘍メカニズムの発見として今後注目されています。

    高濃度ビタミンC点滴療法の適用 

    1)有効な治療法がない場合

    2)抗癌剤や放射線治療の効果が得られない場合

    3)抗癌剤や放射線治療と併用する場合

    4)抗癌剤や放射線治療などができない(無効・不可能ないし希望しない)場合

    5)一般状態が思わしくない場合

    高濃度ビタミンC点滴療法の実施

    日本のビタミンC注射薬は防腐剤が入っているため使用できず、 海外より防腐剤の入っていない天然型ビタミンCを輸入して使用します。投与量は状態によって異なりますが、通常、週に2~3回(初めは毎日もある)から血液内のビタミンC濃度を測定しながら実施します。症状の程度により回数も違います。
    より、効果をあげるために、毎日ビタミンCの内服、ビタミンCを体内で再生するサプリメントを飲んでいただきます。

    高濃度ビタミンC点滴療法の注意点・合併症  

    一般のガン治療と同様に血液検査、血液生化学検査、レントゲン検査、エコー検査、 病理検査、CT、MRI等の検査が必要です。
    点滴開始前には、赤血球のG6PD検査が必要です。先天性G6PD欠損症(G6PD欠損症による溶血クリーゼ)とは赤血球の機能を保つための酵素であるG6PDが先天的に欠損した遺伝疾患です。報告では犬の3000匹のうち1匹にこの遺伝疾患があるとされています。この遺伝子の子に高濃度ビタミンC点滴療法をおこなうと、溶血性貧血をおこすといわれています。非常にまれな病気ですが、点滴療法をおこなう前に必ずG6PDの検査をおこないます。
    また、重度の心不全・腎不全の場合は点滴ができません。(ナトリウム過剰になる可能性があるため)
    点滴後、急激に腫瘍が壊死し出血、発熱が起こることがまれにあります。これを予防するために、少量から点滴を始め、徐々に濃度を上げていきます。他、吐き気、嘔吐、低カルシウム血症、低血糖が起こることがあります。これを予防するために、点滴前はしっかりと飲食飲水をさせたり、点滴中も飲食飲水をさせ、動物の状態をしっかりモニターします。

        がん治療以外のビタミンC療法適応         

    マイヤーズカクテル点滴+ビタミンC点滴がお勧め

    ○椎間板ヘルニア・関節疾患・慢性疾患・肝疾患・呼吸器系・皮膚炎(アトピー)全般など
    ○ウィルス疾患、感染症など
    ○老齢性疾患など(心疾患、腎不全には注意:高濃度VitCでなければ問題なし)
    ○アンチエイジング・QOLの改善
    ○手術前後の体力ケアとして

    がんのサポートとして
    がん手術後の予防として
    がん発症の予防として
    がんのターミナルケアとして

    ※動物に必要な栄養素であるビタミンやミネラルを点滴投与する治療法。(栄養&薬理学的効果)

    2013.10.24

  • orthomolecular

    『癌の治療』       補助的免疫療法

    免疫療法には様々な種類があります。

    1. 抗癌作用を発揮する治療的免疫療法
    2. 癌自体や三大治療などのために低下した免疫力を回復させる補助的免疫療法

    1.免疫賦活療法(ある種のサプリメント含む)
    2-2.健康食品療法(腸管免疫、核酸含む)
    他、オゾン療法、自律神経療法(鍼灸、マッサージ、温泉等)、心理療法等

    2.癌自体や三大治療などのために低下した免疫力を回復させる補助的免疫療法

    2-1.免疫賦活療法

    免疫賦活作用とは、動物が元々持っている免疫力、生体防御機能をアップさせることによって、病気を治そうというものです。
    免疫賦活剤は免疫アジュバントともいわれ、免疫応答を強くしたり、抑制する活性をもっている物質です。動物では、製剤としてではなく、サプリメントとして使用することが多いです。
    霊芝、アガリクス茸といった食用キノコは、古くから民間伝承的に免疫機能を増強する働きがあるとされ、がんやアレルギー、高齢といった生体の免疫機能が崩れた人に有用とされてきました。これらキノコの多くには、その有用成分としてβ-グルカンが含まれています。β-グルカンとは、キノコ、酵母、真菌等に含まれるグルコースが連なってできた高分子量の多糖体です。このβ-グルカンは、免疫を担当するマクロファージやリンパ球を刺激して免疫力を高めます。例えガンが体に残っていても免疫力を高めればガン細胞の増殖を抑えることができ、ガンの再発や転移の予防になります。

    2-2.健康食品療法

    プロポリス、サメ軟骨、オメガ3脂肪酸、プロポリス、キチン・キトサン、クロレラ、スピルナなど

    ① 乳酸菌
    Drりえのお話 No.34 2013.7月 『癌(病気)と戦おうシリーズ1・乳酸菌』参照

    ② 核酸
    Drりえのお話 No.9 2008.5月 『核酸との出会い』参照

    2013.10.23

  • dr

    『癌(病気)と戦おうシリーズ1・乳酸菌』  No.34 2013.7

     『乳酸菌は良い』と言うことは、ほとんどの方が知っていることだと思いますが、どうして良いのか?と聞かれるとどうですか?

    『便秘や下痢を治してくれる』『腸の動きを良くする』・・・ふむふむ・・・そうですね。腸の動き(消化・吸収)がスムーズに行われないと、いくら口から栄養分を入れても活用されずに排泄されてしまいますよね。(栄養素を体が取り入れることが出来るような形に分解することを「消化」といい、消化器官から体へ取り込まれることを「吸収」と言います。)消化は腸内常在菌が体内の消化酵素と協力して行います。その常在菌には善玉菌(ビフィズス菌などの乳酸桿菌や球菌等)、悪玉菌(バクテロイデス、ユウバクテリウム、嫌気性連鎖球菌などの腐敗菌、病原性のあるウェルッシュ菌等)、日和見菌がいるのですが、悪玉菌が優位の環境では消化吸収はスムーズに行われません。
    で、他の理由は・・・?

    今日はその乳酸菌について、病気・・・その中でも、大事なメルモの命を奪った『ガン』に関連づけてお話していきたいと思います。

    『ペットのがん、アトピー、難病は腸から治す!』

    この一文に目が釘付けになりました。というのも、20年近くこの仕事をしてきて、病気の動物さんを診たり、うちの動物達で感じたり、自分自身の体調から『健康の基本は腸である。』と感じていました。外来でも、私が『基本は腸ですからね』と言っているのを聞かれたこともあるかと思います。腸が丈夫な子は大丈夫(腸が弱い子がすべて弱いというわけではありませんが)。うちの18歳まで生きたあいちゃん(シェルティ)なんて、小さい頃から何を食べても下痢も嘔吐もしない、とても腸の丈夫な子でした。
    腸とガン(病気)の関係を科学的にはっきり理解したい(?_?)。そんな理由から、乳酸菌の勉強を始めました。

    まず、言葉の説明から。

    腸内フローラとは腸内常在菌の繁殖状態を意味します。その腸内フローラが良好(善玉菌優位)であれば、発育、栄養素合成、感染防御、免疫活性、ガン抑制、老化抑制、薬物・毒物代謝促進、生理活性向上など、健康状態を改善する方向に整い、逆に悪玉の勢力が高まると不健康・発病の方向に傾く事が研究されています。

    次に加齢と腸内フローラとの関係を見てみると(人間での話になりますが)、誕生からしばらくの間、善玉菌優位の状態ですが、その後悪玉菌が優位になってきます。とは言っても、離乳期以降、成年期の前期頃までは、ビフィズス菌などの善玉菌もまだまだ元気に繁殖してくれています。しかし成年期後半からは善玉菌数が激減するのです。それと反比例してウェルッシュ菌のように病原性のある悪玉菌が急増します。

    さらに老年期に入ると悪玉菌ばかりはびこるようになります。これらの事実から、腸内フローラに注目する限りでは、老化とは悪玉菌が増えることであり、善玉菌を優位に保ち続けることができれば、老化を遅らせることができるのです。また、老化とは外見が年寄りになることだけでなく、免疫力が低下することでもあります。

    年をとると病気になりやすくなるのは、免疫力が落ちるからなのです。こうした点に注目するならば、腸内フローラの状態をできる限り良好に保つことができれば、病気や免疫力の低下予防になるのです。ちなみに免疫とは『疫(はやり病=病原菌)を免ずる作用』イコール『感染病を免れる作用』ですが、感染症だけでなく、体を病にさせない力、病から回復させる力すべてを免疫と考えるべきです。ガンの発症の引き金を引くのも『免疫力の低下』です。

     

    ガンの始まりは正常細胞の変異です。正常な細胞が、発ガン物質の影響や突然変異などで変異し、変異した細胞が生き延び、細胞分裂を繰り返していくとガン組織へと成長するのです。一説によれば、私たちの体の中にはどんなに健康でも常に千単位のガン細胞が存在しているそうです。全身の細胞は60兆個もあるので、何千個ガン細胞があったとしても、そのまま増えずに細胞が死んでいってくれれば何の問題もありません。体の中にはそのような異常細胞を処理する免疫システムがあり、その免疫システムを統括している自律神経が働いています。それらが正常に働いていればたとえ異常な細胞が出現したとしても、修復・排除してくれるのです。

    その修復・排除に重要な役割を担っているのが血液中の細胞、白血球です。白血球は多くの種類に分化していますが、大きく分けると『リンパ球』『マクロファージ(単球)』『顆粒球』に分かれます。

    リンパ球は、ウィルスなどのような小さな異物とガン細胞を攻撃する主役ですが死んでいった細胞を片づけることはできません。これに対して、マクロファージと顆粒球は細菌や細胞の死骸や死にかけている細胞(ガン細胞含む)を片づけてくれます。要は、皮膚の表面の細胞が死んだら垢となって脱落していきますが、体内の垢を処理してくれるのです。その中でもマクロファージは処理した異物に対してサイトカインという物質を放出します(リンパ球もサイトカインを放出します、リンパ球の詳しい話は次項で((+_+)))。簡単に言うと、敵の情報分析をし、みんなに知らせ、臨戦態勢を整えさせるのです。よって、白血球が絶えず元気に働いていてくれればガンを抑えることができるのです。

    そこで前述の乳酸菌との関係ですが、乳酸菌(どの乳酸菌でも良いというわけではないですが)の中に白血球を活性化し、サイトカインの一部、腫瘍壊死因子を産生する強い力があることがわかりました。また、腸(小腸)には免疫システムのスイッチ(免疫の司令塔)があるのですが、そのスイッチをオンにすることもできるので、免疫力がさらに高まります。そして一番最初にお話ししたように、腸の動き(消化・吸収)がスムーズに行われてこそ初めて、栄養分やサプリメントが体内に吸収されるため、乳酸菌を摂取することによって、サプリメント等のさらなる効果が出てくるのです。

     

    難しいことを書き連ねてまいりましたが、ガンと闘うためにはまず体=腸内環境を整えることが必要なことはわかっていただけましたか?

    また、今回ガンに的を絞ったようなお話の仕方をしてしまいましたが、そうではなく、すべて病気に話を置き換えることができます。例えば動脈硬化に置き換えてみると、過剰な脂質の蓄積が要因とされる病気ですが、過剰な脂質を片づける過程に白血球が元気に働いてくれれば、有害な脂質の代謝が速やかに行われ、病気の予防になります。こんな感じで、すべての病気において乳酸菌は有効なのです。

    また、ちょっと意外ですが・・・お野菜、果物の中には、今まで述べてきた乳酸菌がたくさん含まれているのです。免疫落ちてきてるな~と感じたら、キャベツ、お茄子、大根、バナナ、スイカ、パイナップルなどをせっせと食べてみてください。白血球クンがしっかりと働いて、元気にしてくれるはずです(*^_^*)

    ガンと闘おうシリーズ、第一弾として、乳酸菌についてお話ししました。

    次は リンパ球についてお話したいと思います。ちょっと難しい話になりますが、ついて来てくださいね(*^_^*)。

     

    2013.07.01

  • dr

    『核酸との出会い』         No.9 2008.5月

    昨年、うちのメルモが癌とわかり(No.3  『うちの子が癌になりました』参照)、泣き暮らして いた頃、主人が買ってきてくれた本『ペットがガンに負けないために』で 核酸 と出会いました。
    皆さんも 核酸 と言う言葉は聞いたことがあると思いますが、さてナンだっけ(‘_’)?という 感じですよね。
    核酸の詳しい説明は後回しにさせていただいて、この本のちょうど真ん中あたりの一文に  私の目は釘付けになってしまいました。

    『生まれたときから当院にかかっている子たちで現在ガンになっている子は1匹もいません。』                  

    この本の著者は、宮野のり子先生、花田道子先生という開業獣医師さんで、生きる物には  栄養療法がいかに大切で効果的か、生活習慣・環境が生命力にどれほど影響を与えるか、などを一般の方にもわかりやすく教えてくれています。

    さっそくメルモの放射線治療の日にちを決定するのと同時に、栄養療法を始めました。
    メルモの飼い主としての藁をもつかみたい期待と、獣医師としての興味津々な状態からです。
    ただ、栄養療法といっても本に書かれていることを全部そっくりそのまま実践はできません。
    そこは獣医師として省く部分や、時間の制約などもありますので、核酸服用をメインに行って みることにしました。

    後回しになっていた 核酸 の説明をさせていただきます。 (詳しい説明をしていくと 何10ページにもなってしまいますので簡単な説明をさせていただきます。)

    核酸 にはDNAとRNAの2種類があり、細胞内の核内にあります。核内には核小体と染色体 が入っており、たんぱく質の一種にDNAが巻きついたものが染色体で、そのDNAから情報を 受け取りコピーしたり、核の外に情報を運んだり、たんぱく質合成を助けたりするのが核小体に存在するRNAの役割です。よって体を作り、維持するためのたんぱく質を作る情報が 記録されている遺伝子の元となっているものが核酸なのです。また、核酸は体内でも合成 出来ます。体内での合成方法は2通りあり、まず一つは食事から取り入れたアミノ酸や アンモニア、炭酸ガスなどを材料として肝臓で合成する『デノボ合成』、もう一つは食品中に  含まれている核酸やその分解物を利用して各細胞で行われる『サルベージ合成』です。
    前者は小さな分子にするまで、何度も分解工程を経る必要があり体に負担がかかるのに比べ、
    後者はすばやく分解され、すぐ体内に吸収され、各細胞を作る元となります。また、核酸は 体内に一定量貯蔵されます。サルベージ合成で作られる核酸が多ければ、デノボ合成で 作られる核酸は減り、又その逆も起こります。また、両者には利用のされ方に決定的な違いがあります。デノボ合成で作られた核酸は、正常細胞のDNA複製に利用される一方で、 ガン細胞のDNA複製にも利用されてしまいます。それに対してサルベージ合成で作られた 核酸は、ガンの栄養となることなく、正常細胞のみに利用されるのです。

    まとめますと、核酸サプリメントを摂る理由は①効率よく体内で利用されるためと、 ②ガンの栄養にもなってしまうデノボ合成量を減らすためです。

    では、核酸が体内に存在していると具体的にはどんなメリットがあるのか?
    それを全部書いていくと、これまた大変なことになってしまうので、一言ずつあげていきます。
    遺伝子の保護と細胞の正常化、がん細胞の兵糧攻め、免疫力の増強と副作用の軽減、抗酸化作用、腸内環境の整備、血行促進、アレルギーの予防、ダイエット効果、ボケ防止など・・・・。

    核酸を服用しはじめてからのうちの子達の様子ですが・・・メルモはとても元気になりました。

    と言うのも、メルモ以外は元々健康優良児ですので体調の変化はあり
    ません。メルモは No.3  『うちの子が癌になりました』でもお話しましたが、放射線療法中、何のトラブルもなく、また、副作用もこんなに出ない子は珍しいと言っていただきました。それが核酸のおかげか、メルモの力か、それはわかりませんが(‘_’)・・・・。ただ、核酸を1年近く使ってみて、悪いものではないことだけは確実なので、うちの子たちには続けて行きたいと思っています。

    また注意ですが、市販されているサプリメント、核酸の中には、成分量の少ないものや内容 表示のないものなどの粗悪品も出回っています。サプリメントであれば何でも良いというわけでなく、厳選された原料から作られた、良質なもの物を選ぶ必要があります。ただ、私たちには どれが良いもので、どれが悪いものかわかりませんので、信用できるところから手に入れる べきだと思います。

    あとはお値段ですが、核酸代は私のスキンケア代よりもかかっています(+o+)。とくに メルモは他にもサプリメントを使っているので、あのちっちゃな体に恐ろしいほどのサプリメント代をかけています。高ければ良いというわけではありませが・・・。
    現在、核酸だけでなく、動物さん専用に様々なサプリメントが出ています。
    サプリメントだけでなく漢方薬だってあります。効能もいろいろです。

    悪いところがある動物さんは、そのようなお薬を使ってみる価値はありますし、元気な子はずっと元気でいれるように使ってみる価値があると思います。お薬との組み合わせや、費用、薬形などから使用が難しい場合もありますが、もし興味がおありでしたらご相談下さい。

    とにかく、私は大切なメルモを元気にしてくれている核酸に、感謝(^_^♪、感謝(^_^☆です。
    (ちなみに私自身はサプリメントやお薬を全く服用してませんので、人間での核酸の効果は わかりません。疲れて死にそうなときなど、飲むと良さげだな~(^^)!とは思いますが、至って  自分にはケチで、一度も核酸も飲んだことがありません。もし御自分で使われている方、効果を教えてください。)

    2008.05.01

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