Dr理恵のブログ

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    『動物さんを捨てないで!!』    No.2 2007.9月

      当院の患者さんである小澤さん(動物大好きの素敵なご家族です)から、「これ読んでみて!」と、1冊の本を寄贈して頂きました。
                       
     「どうぶつたちへのレクイエム」(日本出版社)。    
                   
     人間に捨てられ、動物収容施設で生命を絶たれていったどうぶつたちの、誇り高き最期の肖像アルバムです。  
                     
      「見れば悲しいに決まっている写真をなぜわざわざ見る必要があるの?」と、皆さん思われることでしょう。私もそう思いました。ただでさえ、動物さんが亡くなったり、かわいそうな話の本、映画(南極物語なんて小学生のとき母に連れて行ってもらって以来、  幼いながらにもこれからの人生何があっても見るものか!と誓いました。いい映画ですが・・)                   
    など絶対に見ませんし、話を聞くのだけでも嫌です。     
                  
     その私がなぜこの本に目を通せたか?それは小澤さんの一言。「現実を知らなくては。」                   
     思い切ってその夜(泣くに決まっているため、仕事が終わった後に)恐る恐る本を開きました。                   
     なんて辛い現実でしょうか。犬16万4209頭、猫27万5628頭。一年間に殺処分された命 だそうです。そこに収容される理由は様々です。捨てられた動物さんだけでなく、迷い動物、最期を看取るのが嫌だから、年をとって手がかかるから、妊娠したからなどの理由で、持ち込まれることもあるそうです。                   
                        
     話が脱線しますが、私には心の底から後悔している出来事があります。 
                      
     もう4、5年も前のことです。ある方が、道で倒れているといって1頭の猫を連れてこられました。                   
     交通事故です。ただ、その猫さんは事故による顔面骨折だけでなく、かなりの年齢であり、尚且つ、長年ノラ生活をしてきたような猫さんで、治療には困難を伴うものと予想できました。                   
     連れてこられた方は、純血種の猫を多数飼われている当院の患者さんであり、仕事上でも大変お世話になっていた方であったため、出来る限りの事はしようと意気込んでいたのは 私だけで、治療費も払われることもなく、「先生に迷惑がかかるから」と、3日後に 連れて行ってしまいました。その後、その方から「山に捨ててきた。」とのお言葉・・・。                   
     あの猫さんを苦しめて殺してしまったのは私です。目も見えず、介助無しで食事も 取れない状態で、生きる事はできません。苦しんで亡くなった事でしょう・・・。                   
     どこで間違えてしまったのか?                   
     言い方は乱暴ですが、病院に連れて来られた時点で飼い主さんと同じです。                   
     以後の治療をどうするか、「私は知らないわ」ではいけません。  
                     
     飼い主さんのいない動物さんたちに出来る限りの事をしてあげたいのは山々ですが、動物病院はボランティアではありません。                   
     ただ私を信じて、出来る限りの治療を選択してください。お願いします。                   
     (開院して5年すぎ、今ではスタッフも6人となり忙しくなりましたが、当時は診察も院内動物も少なかったため、あの猫さんを引取るのも可能だったのではないかと後悔しています。)                   
                        
     かなり脱線しましたが、アルバムの中の子達の目と、あの時の猫さんの目が同じなのです。                   
     何かを訴えるような、且つ生きる事をあきらめている目・・・。                   
     私たちにできる事は何なのでしょうか?                   
     まず、現実を知る事です。                   
     ご来院の際には、アルバムを手にとってごらん下さい。                   
     小さな命を守るために、私たちにできる事、少しずつから始めてみましょう。                   
                        

    2007.09.01

  • dr

    『熱中症にご用心!!』        No.1 2007.8月

     先日、2ヶ月の仔犬の頃から診させていただいていたワンちゃんが亡くなりました。                   
     まだ、5歳。熱中症でした。                   
     そのワンちゃんは少しでも目が痒いといっては病院に、少しでも腰が痛いといっては、病院にと、それはそれは大切に、愛されて育てられていました。 
                      
     その1週間前も1頭熱中症で亡くなりました。その子も、お兄ちゃんが大切に 大切に育てていたワンちゃんでした。亡くなった後も、お兄ちゃんは毎日食事を お供えしているそうです。    
                   
     2頭とも運び込まれたときには意識がありませんでした。         
              
     なぜこんなことになってしまったのでしょう?                   
     今年が始めての夏ではありませんし去年まで、いいえ今年も暑さには充分気をつけていたはずです。                    
     1シーズンに何頭か熱中症の動物さんが運び込まれます。  
                     
     真夏の炎天下、フィラリア投薬のためにワンちゃんを歩かせて来院してしまった飼い主さん、若い飼い主さんには、何で私があんなにも怒ったのかわからなかったかも知れません。待合で 呼吸速拍、虚脱、嘔吐、呼吸困難と状態が悪くなっていきました。その場が動物病院であった ため手早い処置で、半日入院で元気に帰っていきました。処置が10分遅れていたらと考えると、 今でも恐ろしくなります。     
                  
     このように熱中症は時間、体温がすべてで、ある点を超えてしまうと私たちの力ではどうすることも出来ません。冷却処置、輸液、酸素吸入、血漿輸液などあらゆる手を尽くしても 「必ず治します。」なんてことが出来ないのです。
                       
     どうすればいいのでしょうか?
     それはまず予防。暑さから動物さんを守ってあげてください。                   
     まだ、「梅雨だから」、「涼しくなったから」、「少しの間だから」、「毎年大丈夫だから」、 なんてことはありません。いつどんなときでも気をつけてください。                   
     当院で熱中症で亡くなってしまった子はこの5年で2頭です。壮絶な亡くなり方を前に それ以上何も出来なく、本当に、本当に辛いです。                   
     もう絶対にこれ以上増やしたくありませんし、亡くならないまでも動物さんがつらい思いを するのを見たくはありませんし、悲しんでいる飼い主さんを前に、私の怒りをどこに ぶつけていいのかもわかりません。                   
     ワンちゃんだけでなく、猫さんも、ウサギさんも、フェレットさんも、人間?も気をつけましょう。                   
     いつも大丈夫だからなんてことはありません。毎回気をつけてください。 
                      
     どんな時でも「熱中症にご用心!!」                   
                       

    2007.08.01

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